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親の面目丸つぶれ 息子と同世代の女性に痴漢繰り返した男
[2008-12-19 17:00:03]

 20人が座れる傍聴席は、開廷時間のかなり前から満員だった。熱心な傍聴人が多いらしく、みんな手にノートとペンを持っていた。その傍聴人の視線を避けるように、開廷直前、憔悴(しょうすい)しきった様子の中年の男女が入廷した。今回の裁判の被告(48)と、その妻だった。

 電車内で痴漢をしたとして、強制わいせつの罪に問われた男性被告の初公判を18日、東京地裁で傍聴した。

 検察側の冒頭陳述などによると、会社員の被告は今年6月ごろ、JR総武線の車内で、自分の股間が大学1年生の被害女性の尻に触れたことから性的に興奮し、女性の乳房をもむなどの痴漢行為に及んだという。

 その後、女性がいつも同じ電車に乗ることが分かると、被告は「あの子、今日も来るのかな」と、待ち伏せをするようになった。

 6月から、逮捕される9月19日まで、被告は同じ女性に対し、10回ほど痴漢を繰り返したという。その行為は、女性の胸にさりげなく触れることから次第にエスカレート。逮捕された日には、女性の服の胸元から手を入れ、下着の上から胸をもみ、スカートをたくし上げ、ストッキングの上から陰部を触るまでになっていたという。

 罪状認否で、被告はうつむいたまま「間違っているところはございません」と、罪を認めた。

 情状証人として、証言台に立った妻の目の下には、真っ黒なクマができていた。証言前、宣誓書を読み上げるその声は、すでに涙声になっていた。

 弁護人「なぜ、痴漢行為をしてしまったと思いますか?」

 妻「私も自分のことでいっぱいで…。子供の受験のこともあって、家庭の中がピリピリしていたので…」

 弁護人「夫婦間で性的不満を解消できなかったんですか?」

 妻「私が断ったりして…。あんまり夫婦としてちゃんとできてませんでした…」

 弁護人「こんな主人と、一緒に生活できないとは思いませんか?」

 妻「子供のためには、夫婦が一緒にいるのが一番なんで…。みんなで罪を償いないたいです」

 涙ながらに証言する妻の姿に、申し訳ない気持ちがわいてきたのか、被告は目を閉じ、ずっとうつむいていた。

 続いて、被告人質問が始まった。優に175センチ以上はありそうな身長に、がっちりした肩幅の被告は、その外見には似合わないほどの小さな声で、質問に答えた。

 弁護人「なぜこのようなことをしたんですか?」

 被告「子供が受験に失敗したり、自分も帰りが午後11時になる日が続いて、考え方がおかしくなってしまって…」

 弁護人「でも、それが何で痴漢に結びつくんですか?」

 被告「…。本当にお恥ずかしい限りです」

 弁護人「繰り返しやったということは、計画的だったということですか?」

 被告「あの…、それはありません。サラリーマンの習性として、毎日同じ時間、同じ電車、同じ入り口から乗っていただけで…」

 被告は、痴漢行為の計画性を否定した。しかし、同じ被害者に、痴漢行為を繰り返していたことから、計画性は高いように思えた。

 続く検察側の質問は、被告にとって答えづらいものだった。要領を得ない答えを繰り返す被告に、裁判官が「要点だけ簡潔に述べてください」と注意する場面もあった。

 検察官「1回だけじゃなくて、何度もしたのはなぜ?」

 被告「被害者が抵抗しなかったからです」

 検察官「抵抗しないんじゃなくて、抵抗できないとは思いませんでしたか?」

 被告「…。本当に申し訳ないです」

 検察官「捕まるとは思いませんでした?」

 被告「…。考えました」

 検察官「それでも続けたのは?」

 被告「…」

 検察官「他の女性に痴漢をしたことは?」

 被告「ありません」

 検察官「被害者に会わない時間に乗ることはできなかったんですか?」

 被告「いつも同じ時間に乗る習慣になっていたので…」

 検察官「でも、被害者のこと、探してたでしょう?」

 被告「私は、探していた意識はあまりありませんでした」

 検察官「でも、痴漢しようと思って、電車に乗ったんじゃないの?」

 被告「…。はい…」

 計画性についての答えが二転三転する被告に業を煮やしたのか、裁判官が声を荒らげた。

 裁判官「何でその被害者にずっと痴漢をしたの?」

 被告「嫌がらなかったから…」

 裁判官「気に入ってたんじゃないの?」

 被告「…。はい…」

 裁判官「息子さん、2人とも年頃ですよね? 親としての面目丸つぶれですね」

 裁判官の言葉に、絶句した被告。傍聴席では、疲れ切った様子の妻が、ハンカチで涙をぬぐっていた。

 被害者に手を捕まれた瞬間、「人生おしまいだ」と思ったという被告。今回の事件でそう感じたのは、被告だけではないはずだ。妻、息子、そしてだれよりも被害女性の心に傷を負わせたことを忘れてはならないだろう。

 検察側は懲役2年6カ月を求刑。判決は今月24日に言い渡される。

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