東京地裁の被告人席に座った熟年夫婦。サラリーマンとして勤め上げて定年退職した夫(63)と、その妻(57)の第二の人生は、夫唱婦随の乱交パーティー主催だった。
夫婦が問われたのは売春防止法違反罪。起訴状によると、夫婦は平成19年11月15日、東京都品川区五反田のホテルにいた4人の男性に3人の女性を派遣して売春を斡旋(あっせん)。罪状認否で夫婦は「間違いありません」と起訴事実を認めた。
検察側の冒頭陳述などによると、夫婦は昭和52年に結婚。夫は広告代理店を定年まで勤め上げた。妻は専業主婦だった。
夫婦には月20万円の年金収入があったが、夫は16年4月ごろ売春斡旋業をスタート。一人で続けるのは難しくなり、約1年後に妻を引き入れた。妻は嫌がったものの、結局は夫の求めに応じた。インターネットで客を募集し、月に2回ほど乱交パーティーを主催していた。
男性被告が代理店に勤務している間は、どこにでもある普通の家庭だった。それがなぜ売春斡旋ような裏家業に手を染めるようになったのか。
弁護人「どうして売春斡旋を始めたのか」
夫「売春クラブをやっている女性の友人から誘われて」
弁護人「その女性とはどうやって知り合ったのか」
夫「会社時代に飲み屋で知り合った」
裁判官「よりによってなぜこんな仕事を」
夫「友人ができるなら自分にもできると思った」
乱交パーティーの売り上げは20万円。このうち、ホテル代、食事代、避妊具代などに2万円。派遣する女性への支払いが3人で12万円。純利益は6万円にしかならなかったという。
「思ったほどもうからなかった」。夫は法廷でうなだれた。
弁護人は妻に一緒にやり始めた理由を聞いた。
弁護人「嫌だと思っていたのになぜ一緒に始めたのか」
妻「家が古いから立て替える資金ができるといわれて。そんなに怖いと思っていなかった」
生活費と家の建て替え資金。この2つの理由で飛び込めるほど気軽な稼業ではない気がしたが、それ以上の理由は、被告人の口からは語られなかった。
弁護側証人として、夫婦と同居していた二男が出廷。「こんなことをしていたなんて、まったく知らなかった」と絶句した。
妻は「両親がこんなことをして、裁判所に来てもらうことは、何とも言いようがない」と述べ、おえつを漏らした。
最後に裁判官は妻を諭した。「夫を止めるべきだった。二度とないように、あなたがしっかりしないといけない」。
検察側は夫婦いずれにも懲役2年、罰金30万円を求刑した。判決は29日に言い渡される。